Portrait de la jeune fille en feu
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Portrait de la jeune fille en feu

Portrait de la jeune fille en feu

18世紀後半、フランスの孤島。画家のマリアンヌは、見知らぬ男性と結婚を控える貴族の娘エロイーズの肖像画を依頼される。結婚を拒むエロイーズに正体を隠して近づくマリアンヌだったが、共に時間を過ごすうちに、二人の間には激しくも繊細な愛が芽生え始める。女性の欲望とまなざしを革命的に描き出し、カンヌ国際映画祭脚本賞を受賞した傑作です。

監督 セリーヌ・シアマ
2019
国・地域 フランス
上映時間 122分
言語 フランス語
公開日 2019年12月4日

出演

ノエミ・メルラン アデル・エネル ルアナ・バイラミ ヴァレリア・ゴリノ

🎥 レビューと分析

セリーヌ・シアマ監督の『燃ゆる女の肖像』(2019年)は、映画における「女性のまなざし(女性的視点/フィメール・ゲイズ)」のあり方を根本から再定義し、芸術家とモデルという伝統的な権力関係を解体してみせた崇高なマニフェストです。18世紀後半のフランス・ブルターニュ地方の孤島を舞台に、本作はいわゆる「悲劇的なレズビアン・ロマンス」の定石を鮮やかに回避しています。そこには敵対する悪役も、欲望を媒介する男性のまなざしも存在しません。代わりに描かれるのは、画家マリアンヌ(ノエミ・メルラン)と、望まぬ結婚を控えた貴族の娘エロイーズ(アデル・エネル)の間に流れる、知性と感情の対等な対話です。シアマ監督は、家父長制の象徴である母親が不在の数日間を「ユートピア的空白」として構築し、二人の主人公と女中ソフィの間にある階級の壁を消し去ります。一時期だけの自由な空間において、芸術は「所有」のためではなく「互いの認識」のための手段となります。本作の核心は、エロイーズがマリアンヌの観察に対し「あなたが私を見ているとき、私は誰を見ていると思う?」と問い返すシーンに集約されています。この主客の逆転こそが、本作が提示する革命的な視覚政治なのです。

物語の構造的な中心となっているのは、オルフェウスとエウリュディケの神話に対する三人の女性たちの共同解読です。彼女たちは、なぜオルフェウスが後ろを振り返ったのかを議論します。伝統的な解釈ではそれは悲劇的な失敗とされますが、エロイーズはそれを「詩人の選択」であったと示唆します。つまり、愛する人の肉体的な存在よりも、彼女の「記憶」を永遠に留めることを選んだのではないか、と。この解釈は映画の結末を予感させます。当時の社会構造の中で彼女たちの愛が存続し得ないのであれば、それは芸術と記憶という不滅の力によってのみ、純粋なまま保存されるのです。また、女中ソフィの中絶という痛切な身体的現実を、芸術製作の一環として慈悲深く描き込んだ点も、本作を単なるきれいな時代劇から、過激なまでの血の通った現実へと引き上げています。

美学的には、自然光とキャンバスを削る木炭の音を駆使した、極めて純度の高い没入体験を提供します。全編を通じて音楽を排した演出が、最後に現れる音楽——ヴィヴァルディの『夏』——の圧倒的な破壊力を際立たせます。数年後、オペラハウスで音楽に身を委ねるエロイーズの横顔を捉えた、瞬きを許さないほどのクローズアップ。そこには、彼女が経験した喜び、痛み、喪失、そしてそれらすべてを自らの意志で引き受けた一人の女性の、気高い自律の歴史が刻まれています。『燃ゆる女の肖像』は、歴史がいかに女性の名前を抹消しようとも、彼女たちのまなざしに宿る「炎」や、記憶という名の主権を完全に消し去ることはできないのだということを、我々に力強く思い出させてくれます。

🏆 受賞・ノミネート

  • カンヌ国際映画祭 脚本賞・クィア・パルム賞受賞
  • セザール賞 撮影賞受賞
  • ヨーロッパ映画賞 脚本賞受賞

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