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マーベルズ

女性の友情 · 映画

マーベルズ

原題The Marvels

マーベル初のアフリカ系女性監督ニア・ダコスタが放つ、3人の女性ヒーローの共闘を描いた痛快アクション。キャプテン・マーベル、モニカ・ランボー、ミズ・マーベルの能力が入れ替わるという極限状態を通じ、女性同士の絆、世代を超えた継承、そして多文化的なアイデンティティを鮮やかに描き出す。

監督
ニア・ダコスタ
2023
地域
アメリカ
上映時間
105分

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ニア・ダコスタ監督による『マーベルズ』(2023年)は、スーパーヒーロー映画というジャンルにおいて重要なイデオロギー的転換を象徴する作品です。マーベル初のアフリカ系女性監督として起用されたダコスタは、キャロル・ダンヴァース(ブリー・ラーソン)、モニカ・ランボー(テヨナ・パリス)、カマラ・カーン(イマン・ヴェラーニ)という、世代も文化的背景も異なる3人の女性たちの物語を軸に、完全に女性主導の叙事詩を創り上げました。本作最大の特徴である「能力の入れ替わり(エンタングルメント)」という設定は、単なる視覚的なギミックではなく、物理的な距離の接近と即時的な協力を強いることで、伝統的な「孤高のヒーロー」像を解体し、相互依存と集団的行動に基づく新たなヒーローモデルを提示しています。この「位置の交換」は、女性同士の連帯がいかに不可欠であるかを示す深いメタファーであり、断片化された宇宙において、真の力は孤立した覇権ではなく、流動的で時に混沌とした「互助」のプロセスから生まれることを示唆しています。

インターセクショナル(交差的)なフェミニズムの視点は、カマラ・カーンのキャラクターに最も顕著に表れています。パキスタン系アメリカ人のムスリム少女という彼女のアイデンティティは、単なる装飾ではなく、彼女のヒーローとしての動機の核心として描かれています。カマラの目を通じて、映画はマイノリティの若い女性が自らの文化的な根源を尊重しつつ、宇宙規模で主体性を確立していく過程を探求しています。これに対し、キャロルとモニカの間に横たわる数十年越しの家族的なトラウマは、キャリアとしての外部的義務とプライベートな内部的関係の間で引き裂かれる女性たちの現実的な葛藤を反映しています。彼女たちの和解プロセスは、男性的な力による征服ではなく、互いの喪失と癒やしの歴史を認め合う「感情労働」を通じて達成されます。叩き上げのベテランであるキャロルから理想主義的な新人カマラへと続く世代間の橋渡しは、各世代の知恵を等しく尊重する、健全な女性のメンターシップを提示しています。

製作の舞台裏においても、本作はそれ自体がエンパワーメントを具現化しています。女性を中心とした脚本チームとダコスタ監督独自の美学的ビジョン——鮮やかな彩度とポップカルチャーの要素を融合させた宇宙的アクション——は、アクション映画において往々にして去勢されるか過度にスタイライズされてきた「女性の身体」の描き方に一石を投じています。また、ヴィランであるダー・ベンさえも、自らの民と故郷を守るという動機に基づいて行動しており、単純な善悪二元論を避け、リーダーシップに伴う絶望と妥協を浮き彫りにしています。巨大フランチャイズの重圧の中で航行しつつも、『マーベルズ』の永続的な価値は、女性同士の繋がりに向けられた衒いのない賛美にあります。宇宙で最も強力な力は、単独の光子ブラストではなく、女性たちが共に世界を、そして互いを守ることを可能にする、持続的で協力的な「紐帯」であることを結論づけているのです。

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