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恐るべき浪費

環境正義 · 書物

恐るべき浪費

原題A Terrible Thing to Waste

著者Harriet A. Washington

ハリエット・A・ワシントンが、環境人種差別による有害物質への曝露と健康・認知への影響を追い、人種的不平等を生物学に帰す見方を問い直す。

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書評と読書案内

ハリエット・A・ワシントンの『A Terrible Thing to Waste』は、「集団によって測定された知能が異なるのはなぜか」という問いを、「誰が有害な環境で暮らし働くことを強いられ、その被害がなぜ生来の能力不足と誤読されるのか」という問いへと反転させる。鉛や重金属、大気汚染、産業廃棄物、病原体、妊娠期のケア、栄養に関する研究と報道を結びつけ、人種的不平等を遺伝的な序列として説明する見方に異議を唱える。「浪費」とは、避けられる身体と認知への被害であり、危険を政策的に押しつけたうえ、その結果を人々の能力不足の証拠として扱う制度による可能性の浪費でもある。

ボルティモアの鉛曝露を扱う部分は、環境政策を生活基盤に結びつける。老朽住宅、公共サービスの放置、規制の不備は均等に分布するのではなく、人種と階級に沿って重なる。ワシントンは鉛を、妊娠、子どもの発達、感染、栄養、医療へのアクセスを含む長期的な曝露の連鎖に位置づけ、複雑な被害を単一の汚染物質に還元しない。因果関係の向きが変わる。集団の能力不足を前提にするのではなく、住宅、労働、公共サービスが健康をどう形づくり、なぜ一部の地域に危険が集中し、救済は不足するのかを問うのである。

フェミニストの視点からは、曝露が身体とケアの関係を通じて広がることが見えてくる。妊娠する人、子ども、家族のケアを担う人、地域の組織は、危険の察知、治療の手配、公的サービスの穴埋めを担うことが多い。それでも環境に関する決定では、その知識が排除されがちだ。ワシントンがIQを扱う方法には、戦略と緊張の両方がある。IQを偏りのある限定的な尺度と批判しながら、認知への損傷を追跡し、否定されてきた被害を公に認識できるようにする。しかし環境を守る根拠が認知的損傷の証明に依存すれば、どの命に投資する価値があるかを能力で測る枠組みが残る。健康と安全な環境への権利はテストの点数に左右されるべきではない。

この因果分析は、環境正義を個人の健康選択の問題に閉じ込めないことも求める。住民は汚染源や子どもの症状を把握していても、検査、法的支援、安定した公共サービス、転居の資源を得られないことがある。家庭に「もっと注意を」と求めるだけでは、インフラと規制の失敗が再び隠される。妊娠や子どもの発達を扱う研究では、女性の身体をリスクの容器として描き、危険な場所での労働、住宅の制約、政策決定に参加できない状況を見落とす危険もある。フェミニストの視点は生物学的な影響を考えると同時に、許容できるリスクを誰が決め、是正を誰が受け、制度の失敗を誰のケア労働が埋めるのかを問う。本書を議論するときは、曝露を住宅、賃金、公衆衛生、環境規制の判断に結びつけたい。

本書は米国を中心に環境人種差別と健康を論じ、他地域の環境正義の歴史や、影響を受けるコミュニティ内部のジェンダー、階級、障害の違いを代弁するものではない。それでも、個人の「能力」とされるものを、変えうる住宅、労働、ケア、規制の制度につなぎ直す点は重要である。出版社の紹介と研究範囲には、汚染物質、IQをめぐる議論、米国の事例が示されている。

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