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『貴婦人の都の宝』

女性史 · 書物

『貴婦人の都の宝』

原題Le trésor de la cité des dames de degré en degré et de tous estatz

著者Christine de Pizan

クリスティーヌ・ド・ピザンが1405年に著したフランス語作品。女性の学び・労働・統治を身分ごとに論じ、中世の階層秩序も映し出す。

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書評と読書案内

クリスティーヌ・ド・ピザンは1405年に『貴婦人の都の宝』を完成させました。『三徳の書』とも呼ばれ、『貴婦人の都の書』の続編として読まれる作品です。前作が女性の歴史や功績を積み上げて寓意的な都市を築いたのに対し、本作は女性の置かれた状況と社会的身分に沿って教えを組み立てます。フランス国立科学研究センター(CNRS)の中世テクスト目録は、成立時期を1405年の春から11月7日までとし、言語をオイル語系フランス語と記録しています。大英図書館も二つの題名を併記し、女性のための教育論として整理しています。

全三部・53章から成り、第一部は王妃、王女、貴族女性を対象に、信仰や結婚だけでなく、寡婦の生活、後継者の養育、君主と貴族の仲裁、宮廷の管理、収入と財政を論じます。第二部は宮廷に仕える女性、領地に暮らす貴族女性、宗教生活に携わる女性へと移ります。第三部では商家、寡婦、年齢の異なる女性、職人、召使い、農家、貧困状態にある女性が扱われます。この構成が示すのは、女性の学びが内面の教養だけでなく、家政、生活の糧、公共秩序に関わる知識として書かれていることです。ただし、各階層の女性が自ら経験を語る記録ではなく、著者が女性たちを分類し、教えを与える構造でもあります。

上層女性への助言には政治的な主張があります。ピザンは王女を無力な存在として描きません。財産を管理し、宮廷の関係を保ち、後継者を育て、統治者と臣下の和平を支える役割を期待します。印象的な箇所では、誘惑の声が王女に富を蓄えて復讐と贅沢に使うよう促し、それに徳の声が反論します。不正な富は他者への損害によって集められるものであり、高い身分は私欲を満たす許可ではなく、責任を伴うというのです。キリスト教的な道徳の言葉で語られながら、権力を持つ者にその使い方を問う箇所として読めます。

「身分から身分へ」という構想は、対象の拡張であると同時に境界でもあります。商い、手仕事、奉仕、農業、貧困に関わる女性が明示的に登場しますが、多くは自分の労働を語る話者ではなく、学識ある著者から助言される類型です。名誉、性規範、衣服、婚姻上の義務、身分にふさわしい振る舞いへの要求は全編に及びます。都市の女性に衣服の階級差を越えないよう求める章もあります。本書は近代的な社会平等を掲げず、身分制を解体せず、キリスト教的規範から女性を自由にするものでもありません。幅広い女性に向けられていることを、同じ権限や学びの機会が分配されたことと混同してはならないでしょう。

この緊張こそ、フェミニズムの視点から本書を読む価値です。ピザンは、宮廷の最上層から庶民の家まで女性に語りかける知的権威を主張し、女性の判断力、学び、家政の能力を政治共同体の一部に位置づけます。一方、その擁護は当時の宗教と階層制度の内部で行われ、女性を力づけると同時に規律化します。「時代を先取りしたフェミニスト」か「保守的な道徳家」かという二択ではなく、徳、身分、キリスト教的義務という当時利用可能な言葉を通して女性の能力をどう論じ、なおその枠組みから誰がこぼれ落ちるのかを問うと、著者の仕事をより立体的に捉えられます。

Project Gutenbergでは、フランス国立図書館(BnF)/Gallica提供画像から転記されたフランス語の本文を読めます。現代英訳ではありません。序文と目次から入り、宮廷の財政・仲裁を扱う章と、商家、職人、召使い、貧しい家の女性を扱う章を比べるとよいでしょう。身分によって助言の内容がどう変わるか、名誉や節制への要求がどこで繰り返されるかが見えてきます。さらに『貴婦人の都の書』を現代フェミニズム・アートが再解釈する記事と併読できます。記事が扱うのは本作の前作とその芸術的な後世であり、本作を直接論じるものではありません。二つを並べることで、女性の都市を想像することと、現実の女性の日々を統治・規律化することの緊張が浮かびます。

本文・書誌:Project Gutenbergのフランス語本文と形式;IRHT-CNRSの作品記録;大英図書館の写本目録。

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