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トランスジェンダー・ウォーリアーズ:ジャンヌ・ダルクからデニス・ロッドマンまで

女性史 · 書物

トランスジェンダー・ウォーリアーズ:ジャンヌ・ダルクからデニス・ロッドマンまで

原題Transgender Warrior: Making History from Joan of Arc to Dennis Rodman

著者レスリー・ファインバーグ

トランスジェンダーの歴史と誇りを取り戻すための、記念碑的なノンフィクション。太古の共同体から現代のアクティビズムまでを網羅し、ジェンダーの多様性がいかに抑圧され、またいかに不屈の意志で戦われてきたかを、豊富な図版と共に解き明かす。

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書評と読書案内

1996年に出版されたレスリー・ファインバーグの『トランスジェンダー・ウォーリアーズ:ジャンヌ・ダルクからデニス・ロッドマンまで(Transgender Warrior)』は、トランスジェンダーの歴史を「奪われた者たちの歴史」から「誇り高き戦士たちの歴史」へと塗り替えた、極めて重要かつ感動的な著作である。ファインバーグは、自身のトランスジェンダーとしての苦難に満ちた生い立ちを独白しつつ、歴史、人類学、社会学の知見を総動員して、ジェンダーの多様性がいかに文明の黎明期から存在し、それがいかにして後世の権力構造によって組織的に抑圧されてきたかを白日の下に晒している。

著者のレスリー・ファインバーグは、小説『ストーン・ブッチ・ブルース』の著者としても知られる。彼女のアプローチは、唯物史観に基づき、ジェンダーの抑圧を私有財産制や階級社会の成立と密接に結びつけて考える点に特徴がある。本作において彼女は、単なる歴史の紹介にとどまらず、現在進行形で差別や暴力にさらされているすべてのトランスジェンダーの人々に、自分たちのルーツを教え、闘うための知的な武器を提供しようとしている。

物語は、ファインバーグ自身の個人的な問いから始まる。「私は何者なのか?」そして「なぜ社会は私をこれほどまで憎むのか?」。この切実な問いに応えるため、彼女は歴史の深淵へと潜り込んでいく。そこで彼女が発見したのは、かつて多くの先住民社会や古代文明において、二つのジェンダーの境界を越える人々が、シャーマン、予言者、守護者として崇敬の対象ですらあったという事実である。ファインバーグは、ジェンダーの二元論(男か女か)は普遍的な真理ではなく、特定の政治的・経済的な利益のために構築された歴史的な産物に過ぎないことを証明する。

本書のハイライトの一つは、聖女ジャンヌ・ダルクの再解釈である。ファインバーグは、ジャンヌが処刑された真の理由の一つが、彼女が男性の服を着ることを断固として拒まなかったこと、すなわちジェンダーの越境そのものであったという側面を浮き彫りにする。ジャンヌを「トランスジェンダー・ウォーリアー(戦士)」の系譜に位置づけることで、彼女の戦いが単なる国家間の戦争ではなく、自分の身体とアイデンティティを自分で定義する権利をめぐる闘争であったことを明らかにしている。

フェミニズムの観点から見れば、『トランスジェンダー・ウォーリアーズ』は「身体の自律性」の射程を大きく拡張している。ファインバーグは、女性の抑圧とトランスジェンダーの抑圧が、同じ「性別による役割固定と管理」という根から生じていることを指摘する。彼女は、フェミニズム運動がトランスジェンダーの人々を排除することの誤りを説き、すべての人が自分自身の身体とジェンダーを自由に表現できる権利こそが、真の解放の基礎であると主張する。インターセクショナル(交差的)な連帯の重要性が、ここでも力強く説かれている。

また本書は、西洋中心的な歴史観に対する強力な批判の書でもある。アジア、アフリカ、南北アメリカの先住民文化における「第三の性」やジェンダーを越える儀式についての多岐にわたる事例紹介は、読者の狭窄なジェンダー観を根底から揺さぶる。ファインバーグは、植民地主義がいかにして現地の多様なジェンダー文化を暴力的に破壊し、キリスト教的な道徳観を押し付けてきたかというプロセスを告発している。

歴史的な文脈においては、1969年のストーンウォール騒動も詳しく扱われる。ファインバーグは、この現代のLGBTQ+運動の出発点となった暴動において、最前線で警察と戦ったのは、しばしば歴史から抹消されてきたトランスジェンダーの女性たちやドラッグ・クイーンたちであったことを再評価する。彼女たちはまさに、現代における「ウォーリアーズ(戦士)」であり、彼女たちの勇気がなければ、今の権利獲得の道はなかったのである。

メンタルヘルスの側面からは、本書は「自己肯定のセラピー」としての役割も果たしている。社会から「異常」や「病理」としてレッテルを貼られてきた人々にとって、自分たちには何千年もの歴史があり、優れた文明の中で敬われてきた祖先がいることを知ることは、計り知れない救いとなる。ファインバーグの言葉は、孤独の中にいる若者たちに、「あなたは決して一人ではないし、あなたの存在は歴史的に正しいのだ」という力強いエールを送り続けている。

図版が豊富に使われていることも、本作の大きな特徴である。世界各地の彫刻、絵画、写真などを通じて、視覚的にジェンダーの多様性を理解させようとするファインバーグの配慮は、言葉を超えて「存在の真実」を伝える。そこには、時に美しく、時に厳格で、時にユーモラスな、多様なジェンダーを生きる人間たちの姿が溢れている。

『トランスジェンダー・ウォーリアーズ』は出版以来、この分野の学問的発展に寄与しただけでなく、世界中の多くのアクティビストにとっての「バイブル」となった。ファインバーグが遺した、抑圧の歴史を勇気の歴史に読み替えるという作業は、その後、多くの研究者や作家に引き継がれ、クィア・ヒストリーという新しい地平を切り拓く原動力となったのである。

また本書は、労働者階級の視点を一貫して保持している。ファインバーグは、トランスジェンダーの権利を、雇用の権利、住宅の権利、そして基本的な生存権の問題として定義する。彼女にとって、ジェンダーの解放は、資本主義的な搾取からの解放と表裏一体であった。この徹底したリアリズムが、彼女の議論を単なる抽象的な議論ではなく、生活に根ざした切実なものにしている。

結論として、レスリー・ファインバーグの本作は、沈黙させられてきた何世代もの人々に対する、壮大な讃歌である。それは読者に対し、自分自身の真実を掲げて生きることが、どれほど困難で、かつどれほど高潔な行為であるかを教えてくれる。ウォーリアー(戦士)とは、銃を持つ者のことではない。自らのアイデンティティを誇りとし、他者のために、そして未来のために、不条理な現実にNOを突きつけ続ける者のことである。

ファインバーグは最後に、未来を担うウォーリアーズに向けて、連帯の重要性を説く。「私たちは、自分たちの過去を知ることで、自分たちの未来を勝ち取ることができる」。その確信に満ちた言葉は、今も世界中のデモの最前線で、そして自室で静かに本を開く一人の読者の心の中で、力強く鼓動し続けている。レスリー・ファインバーグが灯したこの歴史の松明は、暗闇を照らし続け、私たちをより自由で、より美しい人間性の完成へと導き続けるのである。

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