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アンテームド:解き放たれた女たち

女性文学 · 書物

アンテームド:解き放たれた女たち

原題Untamed

著者グレノン・ドイル

社会が求める「よき女性」「よき母親」という檻から抜け出し、自分自身の真実の声に従って生きるための勇気。長年の依存症や苦しい結婚生活を越え、真の愛と自由を手に入れた著者が贈る、全世界の女性をエンパワーメントする魂の回顧録。

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書評と読書案内

2020年に出版されたグレノン・ドイルの『アンテームド:解き放たれた女たち(Untamed)』は、世界中の女性たちに「自分を縛る檻を壊し、野生の魂を取り戻せ」と呼びかけ、社会的な現象を巻き起こした衝撃的な回顧録である。ドイルは、自身の過去の依存症、苦しい結婚生活、そして予期せぬ場所で見つけた真実の愛を赤裸々に綴りながら、女性たちがいかに幼少期から「飼い慣らされ(Tamed)」、社会が求める「よき女性」の型に自分を押し込めてきたかを鋭く告発している。本作は、自分自身の直感(Knowing)を信じ、不完全であっても真実の人生を歩むためのパワフルな手引書となっている。

著者のグレノン・ドイルは、ベストセラー作家であり活動家、そして人気ブログ「Momastery」の創設者である。かつては「よきキリスト教徒の妻・母」としてのロールモデルを完璧に演じようとしていた彼女だが、夫の不倫という事件をきっかけに、自らの人生がいかに他者の承認と期待の上に築かれた砂の城であったかを痛感する。本作においてドイルは、洗練された理論ではなく、痛みとユーモア、そして圧倒的な情熱に満ちた肉声で、一人の人間としての「主権」を取り戻すプロセスを語りかけている。

物語の象徴的なモチーフとして登場するのは、動物園のチーター、タビサのエピソードである。幼い頃から囲いの中で育てられたタビサは、自分がチーターであることを忘れ、犬のように振る舞い、餌を与えてくれる人間に従順であるよう教え込まれる。ドイルは、このタビサの姿こそが現代の女性たちの投影であると説く。私たちは、安定や賞賛という「ドッグ・フード」のために、自らの内なる荒野や力強い走りを捨て、誰かの設計した檻の中で「幸福」のふりをしていないか。ドイルの問いは、読者の心の奥底に眠る「野生(Untamed)」の感覚を鋭く呼び覚ます。

本書の核となる概念は、「インナー・ノウイング(内なる知)」である。ドイルは、私たちは皆、自分の内側に「何が正しいか」を瞬時に理解している深い静かな場所を持っていると言う。しかし、社会的な教育や「よき母・よき妻」というプレッシャーが、その声をかき消してしまう。彼女が自らのセクシュアリティを再定義し、女子サッカー選手の元オリンピック代表アビー・ワンバックと真実の恋に落ちたとき、周囲の激しい批判や困惑をよそに、彼女を支えたのはこの「内なる知」であった。自分の人生を自分で決めるということは、世界を落胆させても、自分自身を裏切らないということなのである。

フェミニズムの観点からは、『アンテームド』は「身体の自律性」と「欲望の肯定」を力強く訴えている。ドイルは、女性がいかに自分のための時間、喜び、そして怒りを放棄することを美徳とされてきたかを批判する。自分を極限まで犠牲にする「献身」は、実際には女性の精神を去勢し、次世代に不自由な生き方を継承させるだけのプロセスであると断じている。母が自分の情熱に従って輝くことこそが、娘に対する最大のエンパワーメントであり、真の意味での「革命的マザリング」であるという彼女の主張は、多くの母親たちに深い救いを与えた。

また本書は、メンタルヘルスの重要性についても、自らの接触障害や鬱との闘いを通じて、極めて現実的なレベルで語っている。ドイルは、痛みや不安を「消すべき問題」として扱うのではなく、それが自分に何を教えようとしているか、どこへ向かわせようとしているかという「導き」として捉え直すことを提案する。自分自身の痛みをありのままに感じること(Feeling all the feelings)は、自分を偽って幸福を演じるよりも、はるかに健やかで、真に勇敢な選択なのである。

ドイルの文体は、短く、パンチが効いており、一つひとつのエピソードがまるで心臓に打ち込まれる杭のように強烈である。彼女は、複雑な社会問題を。家庭内の些細な会話や日常の光景から鮮やかに切り出し、それを普遍的なフェミニズムのテーマへと繋げていく。例えば、家の片付け、子供たちとの対話、スポーツの試合の観戦。それらすべての風景の中に、いかに「女性を閉じ込める見えない壁」が存在し、それをどうやって乗り越えるべきかのヒントが隠されている。

インターセクショナリティ(交差性)についても、ドイルは自身の白人女性としての特権を自覚し、それをどのように他者の解放のために使うべきかという、誠実な格闘の跡を見せている。彼女は、自分の解放が他者の抑圧の上に成り立つものであってはならないと説き、真の自由とは、正義を求める活動(アクティビズム)と分かちがたく結びついていることを示している。自分を解き放つことは、世界をより公正な場所にするための最初の、そして不可欠な一歩なのである。

『アンテームド』が出版された直後、世界はパンデミックに見舞われた。家の中に閉じ込められた数百万人の女性たちが、ドイルの言葉に触れ、自らの人生の「檻」に気づき、静かな、あるいは激しい変革を始めた。「私たちは、不可能なことでもやり遂げられる(We can do hard things)」という彼女のスローガンは、困難な時代を生き抜くための合言葉となった。アデルやリース・ウィザースプーンといった著名人も熱烈な支持を表明し、本作は現代女性の必読書としての地位を確立した。

ドイルは、宗教や伝統的な価値観がいかに女性の罪悪感を煽り、コントロールしてきたかについても鋭い分析を加えている。彼女は、神とは自分を手懐けようとする力ではなく、自分を真実の姿へと解放しようとする無限の愛であるべきだと語る。この精神的な再定義は、伝統的な宗教環境で育ちながらも違和感を感じ続けてきた多くの読者にとって、深い癒やしと解放をもたらしたのである。

結論として、グレノン・ドイルの本作は、沈黙させられてきた女性たちのための、光り輝く「野生の咆哮」である。それは読者に対し、「もう演じるのをやめなさい」と優しく、かつ断固として語りかける。自分がどこにいるのか、自分が本当は何を求めているのか。その問いに対する答えは、誰かのアドバイスの中ではなく、あなた自身の内なる荒野の中にしかない。

私たちは本書を読むことで、チーターのタビサのように、自分の足元にある境界線がただの白い砂に過ぎないことに気づく。グレノン・ドイルが示したのは、自分自身を生きることは、他者を失望させるリスクを伴うが、それこそが自分を、そして周りの人々を真に自由にする唯一の道であるという真実である。読み終えたとき、私たちの背中には見えない翼が生え、自分の本当の人生という名の荒野を、力の限り駆け抜ける準備が整っているはずだ。アンテームド――それは、あなたが自分自身の主人として、この世界に産声を上げ直すための招待状なのである。

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