監獄フェミニズム · 研究
新しい廃止主義の性政治
The Sexual Politics of the New Abolitionism
Bernstein examines how contemporary anti-trafficking campaigns revive abolitionist vocabularies while aligning feminist, evangelical, and state actors around carceral responses to sexual commerce.
要旨
Bernstein examines how contemporary anti-trafficking campaigns revive abolitionist vocabularies while aligning feminist, evangelical, and state actors around carceral responses to sexual commerce.
研究ガイド
Elizabeth Bernstein の論文は、監獄フェミニズムを理解するための重要な入口である。米国の反人身取引政治が、フェミニズム的な問題意識、福音派の道徳政治、国家の刑罰装置を結びつけ、反搾取の言葉を警察活動、国境管理、犯罪化へと向けていく過程をたどっている。
この論文の重要性は、性労働における暴力を単純に否認するのではなく、なぜ一部の反暴力政策が国家による処罰を第一の答えにしてしまうのかを問う点にある。Bernstein は「新しい廃止主義」が、十九世紀の廃止主義、現代の人権言説、保守的な性道徳を組み合わせながら、性労働者、移民女性、人身取引被害者への管理を強めることを示す。
この論文の貢献は、概念分析とエスノグラフィーの双方にある。Bernstein は会議、祈祷会、教会主催の反人身取引イベントでの参与観察、団体スタッフへの聞き取り、政策文書やメディア報道の分析を組み合わせる。公開された主張だけでなく、連携や道徳的な語彙、日々の組織活動がどのように政治的説得力を生むのかを追うためである。対象は米国の「新しい廃止主義」の形成、特に影響力のある福音派団体であり、すべての反人身取引団体やフェミニストの立場を代表する調査ではない。
Bernstein はこの連携を新自由主義的な性政治の中に位置づける。社会問題が逸脱した個人の問題として語られると、解決策は十分な福祉、労働保護、再分配ではなく、警察活動や刑法へ向かいやすい。救済を掲げる人道主義は、救う側の善意を際立たせる一方、救われる側の政治的主体性を狭めることもある。さらに、グローバル・サウスの脅威にさらされた女性という人種化・植民地主義的なイメージが、介入を自明に道徳的なものとして見せる過程を問う。これは政治的な枠組みと制度的効果の分析であり、人身取引、強制、暴力の否定でも、すべての介入が同じ結果を生むという主張でもない。
現在この論文を読む際には、反暴力政策を検討する問いとして活用できる。誰が被害を定義し、誰の語りが知識として扱われるのか。提案された対策はどの権力を拡大し、処罰が中心になることでどのような物質的支援が見えにくくなるのか。論文は2007年前後の米国を扱う歴史的研究であるため、普遍的なひな型とせず、現在の地域資料や性労働者・人身取引サバイバー自身の記述と併せて読みたい。性労働者の組織化、移民、刑務所廃止に関する資料と読むことで、法をめぐる対立が誰の安全、労働、政治的主体性を重視するかという問いでもあることが見えてくる。論文全文 PDFとDuke University Press の掲載情報も参照されたい。
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