気候正義 · 論考
フェミニストの越境的連帯:エコサイドへの対抗として
気候活動家の対話の輪から生まれたAWIDのジン。生態系の破壊を移住、生計、ケア、地域の組織化と結びつけ、差異を消さない越境的連帯を考える。
記事解析
AWIDが2025年に発表したこのジンは、2023年6月から10月にかけて、アフリカ、アジア、ラテンアメリカ、カリブ地域の気候活動家と行った対話の輪から生まれた。「エコサイド」を出発点としながら、生態系の危機を環境指標や資源管理だけに縮めてはいない。参加者は土地、生計、移住、生物多様性、社会的・文化的な関係のなかに環境破壊を位置づける。損なわれるのは生態系だけでなく、その土地や水域に依拠して暮らし、記憶し、組織する人々の関係でもある。
このジンのフェミニズム的な視点は、「女性」をひとつの気候被害者像にまとめないところに表れる。漁業コミュニティなど、土地に根ざした生計を営む女性やLGBTQIA+の人々に目を向け、植民地主義的な関係、資源の収奪、強制移住がどう交差するかを示す。異なる地域の経験を「グローバル・サウス」の単一の物語にまとめることが目的ではない。一見似た環境圧力も、固有の歴史、労働分担、政治的な権力関係によって異なる影響をもたらす。したがって連帯とは、他者に代わって語ることではなく、差異がどうつくられるのかを理解し、地域の活動家が自ら優先課題を定められるようにすることだ。
刊行物は、インドネシアのソルガム、フィリピンのアグロエコロジー、ベトナムの再生可能エネルギーの取り組み、ホンジュラスの在来種子の保全など、異なる実践を並べる。それぞれが地域の知識や生計の関係から生態系の回復力を捉えている。これらは文脈を離れて移植できる「最良の実践」ではなく、ジンも共通の指標で成果を評価した事例として提示してはいない。編集上の意義は、種子、エネルギー、食、土地が決定権、移行コストの負担、知識の承認とどう結びつくかを考えさせる点にある。
また、国家制度との交渉と草の根の活動を二者択一として描いてもいない。フィジーから参加したAmasai Jekeは、国家の制度に働きかけることと草の根の実践に根ざすことの両方を必要とする視点を示す。連帯のために長期的で柔軟な資源を確保する難しさも残されている。FemResにとって重要なのは越境的連帯を美化することではなく、翻訳、資源、説明責任という具体的な条件を見ることだ。資金や議題が外部機関によって一方的に決められ続ければ、連帯は反対しようとする権力関係を再生産しうる。食料主権をめぐるフェミニズムの視点や『汚染は植民地主義である』と併読すると、土地、知識、資源の統治をつなげて考えられる。
これは対話の輪をもとに編集された簡潔なアドボカシー・ジンであり、地域を代表する調査、気候科学の報告書、掲載された取り組みの統一的な効果評価ではない。越境的な物語を読む際は、それぞれの場所と文脈を保ち、「女性と気候」に関する普遍的な経験へ還元しないことが大切だ。AWIDのジン全文とプロジェクトの背景を参照できる。
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