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不安定化する日本

資本主義批判 · 書物

不安定化する日本

原題Precarious Japan

著者Anne Allison

Anne Allison はバブル崩壊、非正規雇用、孤独死、福島後の生活を民族誌的に追い、安定家族と男性稼ぎ主モデルの崩壊が生存と帰属をどう不確かにしたかを描く。

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書評と読書案内

Anne Allison の『Precarious Japan』は、バブル崩壊後の長期停滞、非正規雇用の拡大、3・11と福島原発事故の後に書かれた。ここで precarity は短期契約や所得低下だけを指さない。仕事が家族を保障せず、家族がケアを保障せず、住居が帰属を保障せず、未来が改善すると想定できない生活の原理である。人々は日常を維持しようとしながら、自分がどこに属し、誰を頼れるかを答えにくくなる。

戦後の安定物語は男性正社員と女性家族ケア担当者を中心にしていた。企業賃金、年金、福利厚生は男性世帯主を通じ、女性の無償家事、育児、感情労働がサラリーマンを支えた。このモデルは全員を包摂せず、女性の依存を代価にした。しかし終身雇用の縮小は平等を自動的にもたらさない。男性は雇用を通じたアイデンティティと家族資格を失い、女性は低賃金非正規労働と継続するケア責任の二重の不安定に置かれた。

Allison はマクロ変化を具体的な場面へ置く。カプセル状の仮住まい、長期に引きこもる若者、孤独死後に発見される遺体、限られた年金で暮らす高齢者、泥と放射能に変えられた地域である。これらを社会問題の見世物にせず、経済的安定、身体的ケア、社会的つながりの相互依存を観察する。貧困とは金銭不足だけでなく、病気のとき誰も来ないこと、公的身分を支える住所がないこと、明日を計画する安定したリズムがないことでもある。

フェミニズムの観点では「家」の危機が中心になる。政策は女性の時間を数えずに家庭を最後のケア提供者とし、家庭が弱まると孤独と未充足ケアを個人の適応失敗として語る。老いと孤独死を扱う章は、女性の長寿、低い年金、累積したケア経歴が晩年の脆弱性をつくることを示す。新たな不足は移民女性と低賃金女性によって埋められ、責任は解決されず延長される。

本書は廃墟の中の代替実践も探す。相互扶助空間、暫定的共同体、災害ボランティア、血縁や男性賃金を中心にしない家である。それらを公共制度に代わるレジリエンスとして美化せず、放棄の条件でつながりを再発明する試みとして扱う。希望は脆弱であり、善意だけでは住居、所得、医療、長期ケアを供給できない。

広い射程ゆえに「日本」が地域、階級、民族、移民の差を平板化する場面があり、社会運動と具体的政策は感情や日常ほど詳しくない。それでも問いは鋭い。旧い安定がジェンダー化された依存に基づき、新自由主義が保障だけを壊してケアを再配分しないとき、誰が移行費用を払うのか。本書は経済危機を身体、関係、時間、死の政治として見えるものにする。

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