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トランスジェンダー史

トランス研究 · 書物

トランスジェンダー史

原題Transgender History

著者Susan Stryker

スーザン・ストライカーの2017年刊第2版は、戦後から2000年代までの米国のトランス・コミュニティと運動をたどり、政治語彙や連帯の変化を描く。

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書評と読書案内

スーザン・ストライカーによる『トランスジェンダー史』第2版(2017年)は、米国を対象に、戦後のコミュニティ、運動、著作、公共的な議論を読みやすい年代記にまとめる。出版社の章構成は、戦後のトランスセクシュアル/トランスヴェスタイトのコミュニティから、1966年以降の急進的な政治、1970年代半ばから1990年前後のアイデンティティ政治、1990年代と2000年代のジェンダーをめぐる論点へと進む。重要な著作や演説の引用、短い人物紹介、回想録の抜粋、ポピュラー・カルチャーの論じ方を示す欄によって、用語が人々、組織、記録媒体と結びつけられる。

この構成は、フェミニズムの歴史を考えるうえでも重要である。ある言葉が主流メディアに登場した時や、制度が承認を与えた時に、トランスの政治が突然始まったかのような物語に抗するからだ。運動の記憶は、集団的な活動だけでなく、出版物や証言を残し、読み継ぐ営みによって形づくられてきた。年表は受容へ向かう一直線の進歩ではない。時代ごとの語彙や戦略の変化は、誰が自らの経験を政治的に理解可能なものとして提示できたのか、後世に著名人や制度上の節目だけが記憶されると何がこぼれ落ちるのかを問い直す手がかりになる。

本書は、アイデンティティを表す言葉の歴史を考える入口にもなる。扱われる時代の呼称は、現在のアイデンティティと必ずしも一致しない。「トランスジェンダー」は連帯の語として働くことがあっても、後世にトランスの歴史へ位置づけられた人々全員が当時から同じ自己認識を共有していたかのように遡及してはならない。歴史的な呼称をその時代に即して読むことは、つながりを否定することではなく、政治的な語彙が作られ、争われ、更新される過程を見えるようにする。

簡潔な年代記の明瞭さは、情報の圧縮と引き換えである。この版は米国中心で、記述は2000年代までにとどまるため、先住民族がそれぞれに持つジェンダー史、他国のトランス運動、米国内の人種・階級・植民地主義の差異を代表するものではない。著者と出版社は2026年2月、世界史を広げ、新しい反トランス政治の動向を加えた全面改訂の第3版を刊行したと案内している。これは別の版であり、このページが扱う2017年第2版のISBNや表紙と混同すべきではない。

第2版は唯一の正典ではなく、次の問いを立てるための地図として読むのがよい。学術分野で知識が編まれる過程なら『トランスジェンダー研究リーダー 2』、二つの霊をめぐる固有の先住民族史なら『トゥー・スピリットを取り戻す』、文化表象・アーカイブ・可視性の政治なら『トラップ・ドア』へ進める。並読することで、歴史的記憶と知識を誰が管理するのかという接点を見つけながら、それぞれの地域・時代・目的の違いも保てる。

年代区分は、その継ぎ目を意識してこそ役に立つ。長い歴史を学びやすく整理する一方で、運動が参加者の経験以上に一枚岩で、順番に移り変わったように見せることもある。サイドバーや回想録の抜粋を個々の声と照らし合わせれば、包括的な用語が過去の生を遡及的に読み替えていないか、公的な節目が記録に残りにくい相互扶助の代わりに語られていないかを問える。読みやすい構成は、確定済みの事実を収める中立的な器というより、歴史がどう作られるかを考える入口になる。どの文章や演説が代表例となり、どのような日常の組織活動が保存されにくいのか、運動が公に知られた名前だけで記憶されると何が失われるのかを考えたい。

この抜粋を年代記と照らし合わせると、運動の主張がいつ現れたかだけでなく、どのように論じられ、時代とともに改訂されたかも読み取れる。

資料:2017年第2版の出版社情報、2026年第3版の出版社情報、ストライカーの著作一覧。

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