女性に対する暴力 · 論考
フランスの親密なパートナー間暴力記録:2024年
SSMSIの報告を通じ、親密なパートナー間暴力のジェンダー差と、行政記録、実人数、被害経験を区別する必要性を考える。
記事解析
暴力の記録数の急増が止まれば、女性はより安全になったといえるのか。フランスの国内治安統計部局SSMSIによる『Interstats Info rapide』第56号は、慎重な解釈を必要とする事例である。Béryl MatinetとMaxine Voinsonは2024年の親密なパートナー間暴力の行政記録を分析する。2025年10月23日に公表された報告の「ほぼ横ばい」は、登録数を指し、暴力全体の発生率を示すものではない。
約27万2,400は実人数ではない
公式報告は、2024年の被害者の計数を約272,400、前年比0.4%増とする。対象はフランスでの15歳以上の人々で、現在または以前のパートナーによる犯罪行為を扱い、法律上の婚姻関係に限らない。
方法の説明によれば、一人の被害者について異なる犯罪行為がある場合、それぞれで計上される。したがって総数は、重複を除いた実人数でも、暴力を経験したすべての人の数でもない。行政システムが自らの記録を正確に数えられても、何人が傷つけられたのかには直接答えられないことがある。数字が無意味なのではなく、その作られ方を保持して使う必要がある。
記録した年と被害を受けた年
登録の約30%は、その登録年より前の出来事に関する。年間の増減には、暴力そのものに加えて、申告行動、窓口の対応、法的分類、記録能力も影響する。増加のなかには長年語れなかった被害が含まれうるし、横ばいだけで予防政策の成功を証明することもできない。
記録の減少だけを組織の成果とすると、申告しやすくする改善が数字上は悪化に見えてしまう。問うべきなのは、対応と保護を受けられるか、被害が適切に認識されるか、繰り返しの被害が減るかである。これらは行政総数から生じる研究課題であり、報告が既に立証した因果関係ではない。
ジェンダー差は分母とともに読む
報告の被害記録の84%を女性が占め、被疑者として記録された人々の85%は男性である。後者は有罪となった人の割合ではなく、二つの数字を対応する事件の組として扱ってもいけない。被疑者は警察・憲兵による聴取後に該当する記録に入り、その手続が当年登録された被害者と同じ手続とは限らないためである。
VRS被害経験調査も参照し、行政記録に現れる暴力は全体の一部にすぎないと説明する。質問紙調査と警察記録は対象、時期、行為の定義が異なるため、単純に割り算したり、未申告の被害者総数へ外挿したりはできない。ジェンダーの非対称性は男性被害者の存在を消す理由でもない。被害の種類、深刻さ、支援への障壁を検討する出発点である。
統計を安全の問題へ戻す
日本の暴力経験調査との比較では、フランスの行政登録と日本の標本調査が別の指標であることが重要になる。どちらの国がより暴力的かという順位はつけられない。それぞれの被害定義、申告されない経験の扱い、対象範囲から外れる人の説明を比較するほうが有益である。
Saffiotiのジェンダー暴力論は、方法と権力を結びつける。どのカテゴリーに分類されるかによって、保護、資源、公的関心へのアクセスは変わるのか。数字を制度的な対応への要求につなぐには、記録への厳密さと、記録されない人への関心を両立させる必要がある。
別の形式で読み進める
特集をたどる
読者の声
読者からの手紙
この記事への応答や、議論に加えるべき資料を共有してください。
ディスカッションに参加
コメントを読み込み中...
サポート
このコンテンツがお役に立ちましたら