母性 · 論考
令和3年度全国ひとり親世帯等調査
厚生労働省の調査は就労収入、本人収入、世帯収入、養育費を区別し、働いても生活が安定しない条件を考えさせる。
記事解析
仕事があっても生活が安定しないのはなぜか。令和3年度全国ひとり親世帯等調査は、この問いに具体的な資料を提供する。厚生労働省が2022年12月26日に公表し、調査時点は2021年11月1日、収入は2020年について尋ねている。後にこども家庭庁が保管した文書を、2023年の新調査と取り違えてはならない。
母子世帯、父子世帯、祖父母などが子を養育する養育者世帯を区分し、有効回答は順に2,653、866、93世帯である。これは回答標本であり全国の世帯総数ではない。ひとり親を離婚世帯だけと同一視もできない。成立理由や親族との同居で、収入と支援の条件は異なる。
三つの収入を混同しない
2020年の平均年間就労収入は、母子世帯の母が236万円、父子世帯の父が496万円。本人の総収入は就労以外の収入を含み、世帯収入には同居親族の収入も入りうる。世帯の資源を母自身の賃金と呼んだり、総額から本人の処分権や関係を離れる能力を推定したりはできない。
就業形態と所得を合わせると、母親に働くよう促すだけでは十分でないと分かる。安定性、ケアと調整できる時間、生活を支える報酬は制度の問題である。横断調査だけで差別の因果効果を測ったわけではないが、努力不足という判断に具体的条件を突きつける。
養育費を私的交渉に閉じ込めない
調査は養育費の取決め、現在の受給、取決めをしない理由を分ける。元配偶者と接触したくないことを、子の生活への無関心と直結させられない。対立、安全、請求の仕組みが交渉の負担を変える。育てる側が何度も督促することだけに責任を置いてよいのかを問える。
数値は感染症流行期を含む特定時点の経験であり、現在の各世帯の家計を表さない。平均は分布、負債、支出を示さない。就業、所得、同居、支援を別の変数として考え、家族形態だけで貧困を説明しない点が重要である。
フランスの離別後の生活水準研究は関係終了後の資源変化を扱い、フレイザーの家族賃金論は稼得とケアを前提にする給付資格を問う。人口と制度の違いを保ち、金額だけの国際比較を避けたい。
別の形式で読み進める
特集をたどる
読者の声
読者からの手紙
この記事への応答や、議論に加えるべき資料を共有してください。
ディスカッションに参加
コメントを読み込み中...
サポート
このコンテンツがお役に立ちましたら