
ラテンアメリカ・フェミニズム · 書物
ラテンアメリカの女性運動:参加と民主主義
原題The Women's Movement in Latin America: Participation and Democracy
ジェーン・S・ジャケット編の七か国比較。権威主義への抵抗から民主政治への参加へ移る女性運動の戦略と緊張を描く。
書評と読書案内
政治学者ジェーン・S・ジャケット編の第2版は、女性たちが権威主義体制への抵抗を支えた後、何が起きるのかを問う。序章の「移行から参加へ」という言葉は、独裁から選挙政府への交代だけを意味しない。選挙が戻った後、誰が新しい政治課題を決めるのか。民主化を支えた組織は、その後どのような役割を担うのか。ジャケットの序章と結論は、七か国の研究を単一のラテンアメリカ史ではなく比較の枠組みに置く。出版社の説明によれば、1990年代に入った運動の課題は、反対運動を動員することから、政党や政府官僚機構と交渉して議題を維持し、実施することへと移っていった。
対象はブラジル、チリ、アルゼンチン、ウルグアイ、ペルー、ニカラグア、メキシコに広がる。目次の章題は、ブラジルの民主化とフェミニズムの変容、チリの独裁から民主主義への移行、アルゼンチンにおける女性と民主主義、ウルグアイの保守政治、ペルーの「パンと薔薇」、ニカラグアのフェミニズムと革命、メキシコ政治と女性運動という異なる入口を示している。これらは同じ経験の言い換えではない。出版社は、事例が共同炊事場の運動から人権団体までを含み、各章が戦略、議論、成果と失敗を扱うと説明する。生活を支える組織、権利を求める運動、明示的なフェミニスト組織は、異なる必要から公共領域に入り、権力と異なる仕方で向き合う。
本書の中心にあるのは、誰が参加の条件を決めるのかという問題だ。フェミニスト組織は政党、労働運動、革命組織、人権連合と協働することも、国家機関に直接働きかけることもある。制度へのアクセスは要求を政策に移す機会になる一方、国家再建、階級的連帯、党内規律が優先されれば、ジェンダー正義は後回しにされうる。組織の自律性は議題を守る助けとなるが、資源や影響力を制限することもある。だから問うべきなのは、政治を制度の「内」と「外」のどちらで行うかだけではない。誰が議題を設定し、誰が変更でき、連携が変わるとき参加者は誰に説明責任を負うのかである。
出版社が共同炊事場と人権団体を並べて示すことで、政治は選挙や議会代表に限られない。食料や地域の生存をめぐる組織化は、ケアと物質的必要を公共の要求として可視化できる。人権活動は、国家権力の行使を影響を受ける人びとに対して問えるものにする。両者は同一ではなく、各国の事例を一つのモデルに還元すべきでもない。しかしこの並置は、フェミニズムにとって重要な問いを促す。女性が、すでに担わされているケア責任を通じて公共領域に入るとき、集団行動は権限を再分配するのか。それとも無償労働に政治的な仕事をさらに積み増すのか。参加は、誰がそこにいるかだけでなく、時間、資源、優先順位、決定権を誰が握るかで評価されるべきだ。
「参加と民主主義」は、祝賀の標語ではなく検証の基準として読むのが有効だ。正式な参加経路は重要だが、それだけでは女性組織が独自の議題を保てるか、制度が要求を実施するか、日常の権力関係が変わるかはわからない。本書の比較枠組みは運動戦略と民主制度を結びつける。政党や行政機関は中立的な通路ではなく、自律的組織もそれだけで包摂的・有効とは限らない。代表と再分配、制度参加と運動の独立の緊張は、七つの事例で解決済みになるのではなく、今後も問われる政治課題である。
本書は1994年に刊行された第2版であり、七か国の研究はラテンアメリカのフェミニズム全体を網羅するものでも、現在の状況を示すものでもない。むしろ、権威主義体制、民主化、制度参加の初期局面を考える歴史的資料として読むべきだ。国や共同体、後の運動のすべてを代表するとは言えない。地域を独裁から平等へ一直線に進む一つの物語としてではなく、比較のための問いを開く枠組みとして読むことで、本書の歴史的位置が見えてくる。
メキシコ、エルサルバドル、ブラジル、チリの草の根組織六事例をより細かく見るには、Lynn Stephen の『ラテンアメリカにおける女性と社会運動:下からの力』へ。カリブ海地域も含む四十年の運動史には、『ラテンアメリカとカリブ海地域の女性アクティヴィズム』が続く。どちらも Jaquette の単純な改訂版ではなく、異なる範囲を補う読書先である。Routledgeの書誌情報には第2版と目次が掲載され、カンタベリー大学図書館の目録で版と1994年の刊行年を確認できる。
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