変革的正義 · 研究
監獄フェミニズムから変革的正義へ
From Carceral Feminism to Transformative Justice: Women-of-Color Feminism and Alternatives to Incarceration
ミミ・E・キムは、米国の反暴力運動が刑事化と結びついた歴史をたどり、有色人種女性フェミニズムが示す修復的・変革的な代替策を論じる。
要旨
Kimは米国の反暴力運動史を通して、保護を求める政治が刑事化へ導かれる過程を分析し、修復的正義と、地域の組織化や構造変革を目指す変革的正義を区別する。
研究ガイド
Mimi E. Kim は、フェミニストの反暴力運動が警察、訴追、収監にますます依存するようになったとき、サバイバーを守る要求が懲罰国家の拡大とどう結びつくのかを問う。論文の冒頭では、Trayvon Martin の殺害と Marissa Alexander の事件を並置する。ただし両者を同一視しているわけではなく、事件の全容は本稿の範囲を超えると明記されている。この対照が示すのは、「公共の安全」が中立的な概念ではないこと、そして黒人コミュニティが暴力の標的になる一方、自衛が刑事処罰の対象にもなりうるという政治的な非対称性である。
Kim はこの問いを、米国のドメスティック・バイオレンスおよび性暴力への対抗運動の歴史に位置づける。公民権運動や急進的な社会運動に根を持つ活動は、長く見過ごされてきた暴力を可視化し、支援の仕組みを築いた。一方、一部の有力な戦略は、刑罰の強化、強制逮捕、警察介入を解決策として求めるようにもなった。本稿は強制逮捕政策や、1994年の犯罪法案に女性に対する暴力法(VAWA)が盛り込まれた政治的経緯を検討する。Kim はフェミニストや反暴力団体を一枚岩として描かない。有色人種女性フェミニストは、刑事化とそれがコミュニティにもたらす害を早くから批判しており、INCITE! などの組織はその実践を引き継いできた。運動が制度的承認を得る一方で、貧困、人種差別、公的サービスの不足といった暴力の条件を扱う余地を失うことが、ここでの緊張である。
本稿は修復的正義と変革的正義も区別する。修復的な手続きは、処罰よりも被害、その影響、サバイバーの必要、責任の引き受けに焦点を移しうるが、刑事司法制度の認可や監督のもとに置かれる場合もある。Kim が論じる変革的正義は、より明確に廃止主義の運動やコミュニティの組織化と結びつき、個別の被害への対応と同時に、人種差別、貧困、性差別、同性愛嫌悪、障害者差別など、害を生み出す構造条件の変革を目指す。したがって単に刑罰を弱めたり、話し合いの場を設けたりすることではない。誰が安全を定義し、誰が対応の資源を持ち、そのプロセスが将来の害の条件を変えられるのかを問う。
具体例として Kim は、フィラデルフィアで性暴力へのコミュニティ対応に取り組んだ Philly Stands Up と、移民の反暴力団体と協働して家庭内・性暴力への対応ツールを開発した Creative Interventions を紹介する。これらはそれぞれの場に根ざした実践であり、そのまま他の状況に移せる標準モデルではない。地域の関係性は支援や集団的な責任追及を可能にしうる一方、時間、資金、継続的な労力を要し、内部の権力差にも向き合わなければならない。「コミュニティ」だから安全だとは限らず、サバイバーにケアや危険管理の負担を戻してはならない。
著者は、こうした変革的実践が発展途上で、非公式かつ記録の乏しいものが多く、ジェンダー暴力への適用には実践者の慎重さもあると記す。本稿は、特定の代替策の有効性をあらゆる場面で証明する評価研究ではない。フェミニズム、社会運動、批判的法研究を土台に、アーカイブ資料、インタビュー、著者自身の運動経験を組み合わせた、米国に焦点を当てる歴史的・概念的な論考である。また Kim は、主流のフェミニスト空間だけでなく急進的な有色人種女性の運動の内部でも周縁化されてきたトランスジェンダーやジェンダー非規範の人々のリーダーシップを、反暴力政治の未来に不可欠なものとして位置づける。論文中の統計や政治状況は2018年時点のもので、現在のデータとして扱うべきではない。
続けて Kim の後年の論文「懲罰体制の漸進的浸透」を読むと、反暴力運動と国家との協働が運動の自律性をどう変えていくかを追える。さらに Mariame Kaba の著書『自由になるまで私たちはこれを続ける』は、別個の廃止主義的な組織実践を知る手がかりになる。これは編集上の読書案内であり、本稿が両作品から影響を受けたとするものではない。二つを併読すると、「なぜ処罰だけではだめなのか」から一歩進み、制度的暴力を再生産せずに害へ対応し安全を築くには、どのような関係、資源、集団的能力が必要なのかが問われる。
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