FemRes成長し続けるレビュー

ケア経済 · 研究

性差を越えてケアの理論へ

Beyond Gender Difference to a Theory of Care

トロントはケアを女性の生得的道徳と見なさず、階級、人種、公的制度が責任と配慮の範囲をどう定めるかを問う。

論文を読む
この資料を共有
X ↗Facebook ↗

01

研究ガイド

ケアを女性固有の道徳と呼ぶことは、その評価を高めると同時に、女性を他者への奉仕へ固定しかねない。ジョアン・C・トロントの1987年論文はギリガンの問題提起を受け止めながら、女性は関係を重視するという説明を自明の事実にはしない。

経験を本性にしない

男性の判断を成熟の基準にすれば女性は不足とされるが、その順位を逆転するだけでも十分ではない。階級、人種、公的生活へ関わる機会も道徳判断を形づくる。ケアを求められ権威を与えられない立場の視点を、全女性の生理的属性に変えてはならない。

頻繁に担う仕事、その経験の道徳的意味、生得的な能力の主張は別である。前二者は最後の主張を証明しない。これは理論的検討であって、全員へ新たな心理検査をする研究ではない。本質化を拒むときにも、働く人の知識を再び低く扱わないことが必要になる。

配慮の境界を誰が決めるか

公私の区分は場所だけでなく権力に関わる。共同体に誰が入り、どの必要へ資源を出し、誰が責任を委ねられるかによって、ケアの範囲は変わる。公的制度が境界を決めながらケアを私的美徳へ閉じ込めれば、善良さの称賛は分担の不正義を隠す。

身内への配慮と外部者の排除は両立しうる。ケアは自動的に平和や正義を生まない。必要なのは優しさだけでなく、制度、成員資格、責任の説明である。『In a Different Voice』は軽視された道徳経験の言語化を、『Caring Democracy』は市場と公共の決定を考える。評価の上昇が、担い手の時間、資源、分担を変える権限につながるかを検討できる。

読者の声

研究をめぐる対話

この研究への応答や、共に読むべき論文を共有してください。

ディスカッションに参加

コメント

コメントを読み込み中...

サポート

このコンテンツがお役に立ちましたら

FemResを支援